建築家の一瀬健人さん・野口理沙子さん(イスナデザイン)による、東京都品川区に建つ集合住宅のリノベーションプロジェクトです。

建築家に伴走して、クライアントと数多く不動産探しをするなかで、ある日みつけたのは、品川区に建つ築31年の4階建ての分譲集合住宅。畳や床の間の和室があり、モダンな建築家住宅とはかけ離れた印象の物件でした。

不動産探しの段階で、その不動産にしかないポテンシャルを発見できるか。建て主の要望を建築として解く設計は不動産探しから始まっています。建築家と不動産コンサルとクライアントがその場で話し合うことは、リノベーションの可能性を広げます。

以下、建築家によるテキストです。

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アートのように住まうこと

アート収集家とそのご家族のためのマンションリノベーションです。一般的な諸室の要望のほかに、150点を超える膨大なアートコレクションを飾るための空間を、そして常にアートを感じながら住まうことが求められました。「アートとともに住まう」こと、そして「アートの“ように”住まう」こと、それがこのプロジェクトの大きな問いとなりました。

日常と非日常を行き来する

日常とアートの中(非日常)を何度も行き来する、「アートの中に入る」という物語を持った住宅を提案しました。空間を区切る壁を膨らませ、本来連続している“日常を切る”ような赤と黒の空間を作っています。赤はギャラリー、黒はウォークインクローゼットとして使われ、これらをアートの中の空間(非日常)に見立てています。

非日常の赤と黒の空間。それぞれ、ギャラリーとクローゼット。

 

アートの中に入るような体験

また、絵を飾る“額縁”をモチーフにした開口を設けることで「アートの中に入る」という体験を感じさせる設えとしています。コーヒーを飲んだり、床でゴロゴロしたりする何気ない姿も、額縁に切り取られることで絵画のように見えてきます

5つの額縁の向こう

 

 

何気ない日常の暮らしも“額縁”を通すとアートのように見える

 

住んでいる中で色々な奥行きが感じられる

 

切り取られた日常とアート作品が並ぶ

 

 

まとめ

日常と非日常を行き来する、アートの中の世界に入ってまた外に出る。そんな体験をすることで、「アートのように住まう」ことができる住宅としています。

日常から非日常へ場面が切り替わる

 

1.5m以上の大型作品が並ぶ

 

額縁の向こうにアートが見える

 

非日常空間をつくるディテール

 

アートや非日常空間を感じながら暮らす

 

 

  • 住所:東京都品川区
  • 主要用途:専用住宅(区分)
  • 構造規模 :鉄筋コンクリート造 4階建て4階部分
  • 築年月:1993年4月
  • 床面積:88.29㎡
  • 設計・監理:イスナデザイン 一瀬健人 野口理沙子
  • 設備設計:ピロティ
  • 施工:ルーヴィス 井川日生李
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 片山優樹
  • 撮影:楠瀬友将