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教育と学び教育と学びについて

建築×不動産の、日本独自のよりよい未来をつくるために

創造系不動産は創業以来、教育事業に尋常ならざるエネルギーを注ぎ続けています。業界団体や民間企業が主催するセミナー、大学や教育機関でのレクチャー、そして自社開催するスクール。高橋寿太郎だけでなく、創造系メンバーも大学で非常勤講師に着任し、またスクール運営を行うなど、全員体制で教育事業を行ってきました。

なぜなら、建築と不動産を融合させる考え方やビジネスの有効性は既に明らかで、今後社会から強く求められることは間違いないのですが、残念ながら自然と勝手に広がっていくものではないためです。建築と不動産のあいだには、依然として大きな壁があります。私たちはこの壁を多くの業界人や顧客が超えていくために、教育事業を使命と捉えています。

建築と不動産の学問体系
建築と不動産の学問体系
<図:不動産学基礎の、3つの輪>
諸説ありますが、建築学は、人間の文化全般を扱う人文科学と、自然の法則性を扱う自然科学のあいだの学問です。一方で不動産学は、自然科学と、政治・経済などを含む社会科学の両方に関する位置付けです。また近年、芸術学を分離させ、学問を四つの体系で論じる傾向もあります。建築系学科に属しつつ、不動産学を学ぶということは、この三つないし四つの体系にまたがる、幅広い感覚を身に着けることに他なりません。

壁を見つけて越える

そうした私たちの様々な教育事業には、ひとつの共通テーマがあります。それは、自分たち自身の専門領域から、隣接する別の領域への横断的な思考と行動を起こすことで、新しい知を得る学習方法です。私たちは次のように言い換えます。自分自身の「壁」を発見し、それを超える。

ここで言う壁とは、限界や苦手意識といった心理的な壁も指すのですが、より重要なことは、当たり前になりすぎている業界の常識観や、その専門領域の構造、またはビジネスモデルそのものを指します。それは当然のようにそこにあるため、見えません。しかしその業界の常識は、隣の業界では非常識であることもしばしばあります。そこに気付くことで、より良い業界の発展と、さらなる顧客や社会への貢献の可能性が開くのです。

建築に経営思考を取り戻す

すでに多くの建築領域の若者達も、横断的な行動を開始しています。それは資格と職能、そして解決すべき社会課題の乖離が起きているためです。例えばかつての住宅産業では、建築士という資格と、新しい建物を作る職能、そして住宅不足という社会課題がぴったり一致していました。そのため建築士を取得すれば、自身の市場価値は高く、顧客のニーズにも答えることができました。

しかし現在、または将来は、人口はますます減少し、空き家が増加するため、新築住宅のニーズは減少します。すでに住宅は足り、次第にリノベーションのニーズが高まるなか、消費者のニーズはモノからコトへとシフトするのですが、しかし建築士の資格内容は変化しません。この乖離をつなぎ合わせるのは、経営思考に他なりません。ひとつではなく、複数の技術をいかに組み合わせることで価値を発見するか。横断的な行動で固定化した業界ルールを刷新できるか。私たちの教育事業の共通テーマは、そうした若者たちの将来に応えるために、具体的な考え方と行動の方法を提供できるものでなければならないと考えています。