旗竿敷地の「建築と不動産のあいだ」

子供を2人もつ30代夫婦のための新築住宅の計画です。敷地は大きな土地が10区画に分筆された一番奥にある旗竿敷地です。旗竿敷地かつ一番奥ということもあり、一般的な不動産の価値だけで見てしまうと10区画の中では廉価な敷地でした。

このような分譲住宅では、駐車場、前庭などの配置計画における定石がそのまま反映されやすい傾向があります。袋小路の一番奥ということもあり、そのまま建てると単調な風景の中に都市の行き止まりができてしまいます。

土地のみに着目すると廉価に見えるものが、隣地の借景や高低差の活用などを土地探しのタイミングで検討し、建築家ARCHIDIVISIONにより、周囲の敷地以上の価値が発見されました。また他の分譲地の建物は、今回の住宅を設計中に上棟したため、隣地の計画に配慮しながら設計を進めることができました。

分譲地の奥や旗竿地といった一見デメリットとなるポイントも、スキップフロアや階段床のルーバー床、光天井といった建築家ならではの空間操作により、メリットに変えることができます。

不動産だけでなく、建築家と共に敷地を探し、建築と不動産のあいだを見つけることで、新たな不動産の価値に気づき、建て主は理想の住宅を手にすることができました。

  • 住所:東京都板橋区
  • 構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
  • 設計・監理:塩入勇生+矢﨑亮大/ARCHIDIVISION
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 野々垣賢人
  • 掲載: GA HOUSES 183