―――武田さんが創造系不動産に不動産コンサルティングを依頼したのは、どんなシーンですか?

 

(武田)

私が創造系不動産さんを知ったのは、隈研吾事務所に在籍していた時です。同僚から、高橋寿太郎さんの『建築と不動産のあいだ』の著書を薦められ読み、これからの建築家は不動産のことまで視野を広げなければいけない、と思い始めました。

組織に在籍していた時には気付かなかったけど、誰かが解決してくれていたクライアントのフォローやマネジメントがありました。独立すると、それらは自分で組み立てていかなければなりません。そこで、創造系不動産と一緒に、プロジェクト全体のマネジメントをやっていけないかと思いました。

設計事務所の業務範囲は狭く、クライアントのお困りごとに手が届かない、そのような歯痒い気持ちが独立当初はありました。クライアントの資金計画や不動産について、創造系不動産なら手が届くのではないかと思い、相談しました。それにより、私たちも不安なくプロジェクトを進めることができ、結果的にクライアントが喜び、それが現在の武田事務所に繋がり、感謝しています。

 

―――クライアントが不安なく進められることは、武田さんにとって重要なことですか?

 

(武田)

重要です。しかしプロジェクトを円滑に進めるためには、学校や職場で学んできた設計技術だけでは足りないのです。創造系不動産は建築家と土地探しから協働する、という印象を当初から持っていましたが、実は全然違い、もっと広範囲でした。
クライアントが建設資金の銀行融資で困っているだろうと思っていても、銀行とのやり取りまでは僕の耳まで届かず、助けることができません。そのような設計の与条件である資金面(プロジェクトの予算)や用途は、大学の演習であれば、課題文が配られてスタディを始めますが、我々は意外とその内容に対して疑いを持ちません。その条件で良いデザインをすることもできますが、カタチを作るだけの職業になってはいけません。本当はクライアントはカタチを求めているだけではなく、経営や収支や10年後どうなっているかのビジョンも求めていて、カタチだけの話では足りないのです。私はその際に与条件から設計すべきだと思っています。

創造系不動産と協働している住宅以外のほとんどは、資金計画から始まり、「用途を変えたらどうなるか」や「集合住宅の住戸数を調整するとどうなるか」を私も考えています。

 

―――それを引き受けようとするところが、武田さんの誠実なところだと思います。

 

(高橋)

私もそう思います。武田さんは物事にかなり柔軟で、周りのことに色々と気を配っていることは確かです。ただし、その周囲の要望をたくさん引き受けても、作るものが縮こまっている感じがまるで無く、結果的にはどんどん可能性を押し広げています。武田さんが生み出す形態を見ればわかると思いますが、とても魅力的です。

 

※2022年6月「建築と経営のあいだ研究所」のインタビューより一部抜粋と加筆修正。聞き手/プログラムファシリテーター・シブヤタカアキ氏

※武田清明氏経歴 https://www.aidaken.com/author/kiyoakitakeda/「建築と経営のあいだ研究所」サイトより

※武田清明氏が主宰する「武田清明建築設計事務所」 のWebサイト https://www.kiyoakitakeda.com/