kanapによる集合住宅プロジェクトです。

対象地は、小規模な商店や集合住宅が集中するエリアに位置します。オーナーの祖父の代から受け継がれてきた一筆の土地には2つの建築が並び、住居と賃貸住宅が位置を入れ替える形で、何度か建て替えが繰り替えされていました。父の代から相続し、空き家となった住居部分を、再び賃貸住宅へ建替える計画がスタートしました。

複層の境界設計

土地には、建築基準法上の敷地/道路境界をはじめ、登記簿上の境界(筆界)や賃貸借契約上の入居者の使用範囲等、見えない境界が複層的に存在しています。賃貸住宅の付加価値や将来的な土地・建物活用の可能性を高めるためには、これらの境界を、多角的な視点から、適切に設計することが重要です。kanapは建築の企画段階から、法規上の敷地範囲を超えて、これらの境界設計を建築計画に取り入れてきました。

以下、建築家によるテキストです。

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西中延の集合住宅です。

建物配置を立体的にずらすことで、各住戸の環境を充実させる通り抜け、中庭、テラスを創出しました。

道をつなぎ、土間とテラスにより、豊かな暮らしをつくる。

 

この賃貸住宅は、敷地に接する2つの道を繋ぐアプローチが特徴です。

アプローチに面して開かれた土間が、居住者の生活スタイルの可能性を拡げ、テラスは住戸間や近隣建物と適度な距離を保ちつつ、光を取り込み風通しを良くすることを意図しています。

さらに、時が経つにつれて風合いが増す無垢材を使用し、長期にわたって愛される賃貸住宅のあり方を目指しています。

幸地俊一 成田佑弥

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  • 住所:東京都品川区
  • 構造規模:木造地上3階建て
  • 設計・監理:合同会社kanap/幸地俊一、成田佑弥
  • 構造設計:Atled構造設計室/小倉直幸
  • 施工:湘栄建設
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産/山岸亮太、倉本琢