ike atelier の池田直哉さん設計による、東京都荒川区の中古戸建てのリノベーションです。

通常は一棟リノベーションと言えば木造なのですが、施主・建築家・不動産コンサルタントが一緒にまちを歩いて、この大胆にリノベーションができる矩形の鉄骨3階戸建てを、建築家の池田直哉さんが見出したところがとても重要でした。

リノベーション以前には、いくつかの課題がありました。
①日当たりの良い部屋が少なく、特にリビングキッチンが1階の北側に配置されていて
日当たりが悪い
②部屋が細分化されていて、天井高も低く狭い
③最も環境の良い3階が、リビングと離れているためにうまく有効活用できていない
④家全体の断熱性能が低い

そこで池田さんはこれらの課題に対して、新しく入居する夫婦の生活スタイルや要望に合わせて改修しました。

断熱性能を確保するため、耐火構造であることを活かした外断熱工法を採用して、鉄骨造では難易度の高い全面断熱改修を行いました。

生活の拠点となるリビングダイニングキッチンを2階にまとめて、各部屋は極力仕切らないワンルームとしました。階段周りには木製縦ルーバーを設けることで、小ぶりな既存サッシからでも十分な明るい光が差し込むようになりました。

天井を高くするために仕上げを取り払い、水平鉄骨ブレースが露出する空間へ生まれ変わりました。それら無機質な構造体とは対照的に、ラワン材で覆われた床や壁にして、木のぬくもりが感じられます。
すべては、建物との出会いの瞬間から設計が始まっていました。

  • 所在地:東京都荒川区
  • 延床面積:101.52㎡
  • 竣工:2021年8月
  • 設計・監理:ike atelier 池田直哉
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 須永則明
  • 写真:フォワードストローク