横浜市の戸建住宅のリノベーションプロジェクトです。

中古戸建の購入は難しい、とよく言われます。理由は大きく2つです。
まず、建物の劣化の状態を判断しにくいこと。
そして、購入の段階では、どうリノベーションできるのかイメージしきれないこと。

土地を購入して新築するよりも検討するポイントが多いので、
家づくりを進められるのかどうか、建て主だけでは判断がつかなくなることがあります。

そのため、不動産フェーズでの建て主と建築家との会話が、とても重要です。
建物の状態の確認・リノベーションで変更可能な箇所の共有・リノベーションにかかる費用感のすり合わせ…そうした会話を通してプロジェクト全体への道筋が見えていき、建て主がベストな判断を下しやすくなっていきます。

 

 

それと同時に、中古戸建の改修に融資をしてくれる金融機関さがしも必要です。

住宅ローンの融資審査の要素である「建物担保価値」が、中古戸建の場合は制度上の理由で、どうしても低く見られます。審査では、築年数に応じて建物の価値は画一的に減っていくものとみなされるからです。
そのため、新築の場合はスムーズに融資をしてくれる銀行であっても、中古戸建のリノベーションの場合は融資金額に上限があったり、融資金額が伸びにくかったり、ということが起こります。

そのため、建築家と建て主の家づくりの裏側で、銀行の融資担当との会話・調整が断続的に発生します。

 

不動産探し・銀行との会話がひと段落すると、プロジェクトは設計フェーズへと進みます。
不動産フェーズでのコミュニケーションを基にして、建て主と建築家によるクリエイションが行われていきました。

 

以下、建築家によるテキストです。

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横浜の戸建てリノベーション

高台の造成地に建つ、築32年の戸建住宅リノベーション計画。
クライアントと議論を重ねた結果、プロジェクトの優先順位を構造→設備→意匠の順にすることが決まった。創造系不動産の本山さんは、物件が決まった後もそういった打合せに顔を出し、都度資金計画を整理してくださった。判断が難しい問題を建て主がスムーズに判断できたのは、本山さんのご協力によるところが大きかった。

腐朽した構造材を更新または補強をするのはもちろん、もし擁壁が崩れても建物が崩れないように基礎を計画し、耐震等級2相当とした。また、外壁からの水によって構造材が腐食していた状況を踏まえ、外壁の防水性能を底上げした。
設備関係はほとんどを新規更新し、配管をシンプル化した。
内装は、既存をなるべく活かしながらも天井の質を変えることによって、リビングや眺めの良いプレイルームや個室など、それぞれの場所の持つ質を引き上げることを意図した。

knof / 菊嶋かおり・永澤一輝

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  • 住所:神奈川県横浜市栄区
  • 構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
  • 設計・監理:knof / 菊嶋かおり・永澤一輝
  • 構造設計:木戸岩夫/蔵工房設計事務所
  • 施工:フィールドホーム 山川慎太郎
  • 建築不動産コンサルティング:創造系不動産 本山哲也
  • 写真:knof
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