ttt architects 田村直己さんによる自邸で、東京都江東区のマンションリノベーションプロジェクトです。

元々は間仕切り壁のほとんどない賃貸住宅で暮らしていたご家族。ふたりのお子様の成長とともに少しずつ手狭に感じられるようになり、これからの家族の暮らしやすさを見据えて持ち家への住み替えを決意されました。

そうして出会ったのが、住み慣れた江東区にある65㎡の中古マンション。バルコニー側が川に面しており、心地よい光がしっかりと差し込み、気持ちのいい風が通り抜ける魅力的な環境でした。建築家はここから家族4人のための空間イメージを膨らませていきました。

限られた65㎡の中で伸びやかに暮らすため、個室は必要最小限に抑え、家族が集まるリビングダイニングスペースをゆったりと確保。部屋の中央には存在感のあるキッチンを配置し、空間の「顔」として仕立てられています。また、各個室は固定された間仕切り壁で区切るのではなく、合板で製作した置き家具を巧みに配置してゆるやかに空間を仕切っています。天井がひとつながりで見えることで部屋全体の広がりを感じられるうえ、この置き家具は家族のライフスタイルの変化に合わせて動かすことも可能です。元々仕切りの少ない賃貸住宅で過ごした暮らしの経験が、家族に寄り添い変容していくフレキシブルな住まいへと繋がっています。

今回、資金計画の面でポイントとなったのは、銀行側の融資ルールです。そこには「物件の決済(引き渡し)までに工事請負契約を結ぶこと」「物件の決済からリノベーション竣工(完成)までを6か月以内に納めること」という条件がありました。

通常、建築家によるマンションリノベーションでは、物件購入(決済)から設計・工事完了までに1年ほどかかることも珍しくありません。そこで今回は、売主様に事情を丁寧に説明し、通常の契約から決済までの期間・約2か月を、倍の4か月へと延長していただく合意を取り付けました。
その間に建築家と工務店は密に連携し、決済前までに無事工事請負契約を締結しました。
決済後もスムーズに着工へと進み、銀行の期限である6か月以内での竣工を見事に叶えることができました。

今回は建築家ご自身の自邸だからこその柔軟さもあったプロジェクトですが、リノベーションにおいては金融機関のルールを見極め、設計者・工務店のスケジュールと綿密に擦り合わせながら計画を進めることが大切です。

 

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  • 住所:東京都江東区
  • 床面積:65.88㎡(壁芯)
  • 築年数:1982年
  • 構造規模:鉄筋コンクリート造マンション
  • 設計・監理:ttt architects/田村直己
  • 施工: 勝栄住宅+勝隆工務店
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産/飯山理帆