太田翔さん+武井良祐さんによる建築家ユニットOSTRによる、品川区西大井にあるマンションリノベーションプロジェクトです。

マンションの不動産取引にあたって、不動産業者が役所調査とマンションの管理調査のみを行うのが一般的です。
一方で、今回の物件では、1980年代の竣工から比較的築年数が経っており、かつ購入検討段階からOSTRによるリノベーションの設計を進めるために、売買契約前に竣工図を確認し、さらに引渡しまでに設計者による実測調査を行いました。

常に競合の出現の可能性をふまえて動くため、不動産の購入では、内見・申込から売買契約・引渡しまで、スピード感が求められます。

施主、建築家、不動産会社のチーム編成は、施主にとって、意思決定の重要なファクターになります。

建築家にとっても、不動産のプロフェッショナルとしっかりコミュニケーションを取りながら、不動産購入を進めることができれば、不動産フェーズから建築フェーズへスムーズなバトンパスを行うことが可能になり、その物件のポテンシャルを最大限に活かして設計に臨むことができます。

以下、建築家によるテキストです。

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窓辺/ランドスケープの余剰-

壁を立て部屋を仕切るのではなく、「窓辺そのものが居場所となる」という一点だけを計画の中心においてみた。

自ずと玄関、水回り、収納が部屋の中心へと集まってきた。それら機能は木のハコとして抽象化され、天井のコンクリート梁(構造機能が抽象化された存在)の凹凸と寄り添い、離れ、呼応しながら、マンションの一室の中にランドスケープを形成していく。その二つのランドスケープの余剰は機能からはみ出た窓辺やスキマ空間などの純粋な居場所として現れた。

それぞれの窓はその大きさ、方角、天井高さ、使い方などによって様々な風景を描き出し、ハコと天井のランドスケープは、室内全体に抜けや見え隠れを生み、部分でありながら同時に全体でもある状態をつくり出す。

意図せず残された場所や、なんとなく存在してしまった余白が心地よい、ということがある。そんな「原っぱ」のような窓辺やスキマ空間が、この住まいの中にいくつも生まれた。

  • 住所:東京都品川区西大井
  • 構造規模:鉄筋コンクリート造8階建ての5階部分
  • 築年月:1985年3月
  • 床面積:77.94㎡
  • 用途:住居
  • 工事:改修
  • 設計・監理:OSTR
  • 共同設計:山田侑輝
  • 施工:バレッグス
  • 設計期間および施工期間:2023年6月 ~ 2025年3月
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 川原聡史