建築家ユニットnias(ナイアス)の設計による、茨城県みらい平市の住宅プロジェクトです。
不動産視点で土地を探すときには「みんなが欲しがるもの」の価値が高いとされます。結果として南向きの成形地で、平坦な土地がより高い価格が付きます。資産という目線からはそれも正しい判断です。

一方で建築的には「その人の生活にあった空間が作れること」の価値が高いといえます。
「みらい平の家」と名付けられたこの家の敷地は、建築家といくつかの土地を見て回るうちに出会った、1.5mの高低差がある土地です。

建築家はこの土地の高低差によって生まれた視線のレベル差を活かし、道路側である東西にあえて視線の抜けがある建築を設計しました。
その土地の持つ建築的ポテンシャルを丁寧に読み解くことこそ、建築家とチームになって不動産探しをする醍醐味です。

――――――――以下建築家のテキストです―――――――
みらい平の家は、夫婦2人、子ども2人のための住宅です。
近年、住宅地開発が進むつくばみらい市の一角が敷地となります。
近隣には、お施主さまと近い家族形態の方々が集まってきており、また、すぐ近くの空き地には近い将来、
中学校が建設されることが決まり、これから街の様相が形作られていくような環境となります。
ここでは、道路レベルから住宅が建つレベル差が約1.5mあり、このレベル差により暮らしのプライバシーは、守られると考え、南北に抜ける開放的な軸を中心とした住宅を計画しました。
この軸上にはLDKやフリースペースといった共用空間を配置することで外部に対して空間が広がる心地よい居場所とします。
その他の諸室がこの軸上の空間に隣接する構成とすることで、離れていてもそれぞれの家族の生活を感じやすく、共用空間に求心性が生まれます。
この建築は、シンプルで明快な構成から、個の時間や家族の時間を過ごす場所がその時々でゆるいつながりを感じられる居場所となり、ここに住まわれる家族の関係性がより豊かになるような住まいの提案です。

 

  • 住所:茨城県つくばみらい市
  • 構造規模:木造 地上1階建て
  • 敷地面積:237.28㎡
  • 建築面積:91.09㎡
  • 延床面積:89.43㎡
  • 設計・監理:nias 石塚栄樹 中津川毬江
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 川原聡史
  • 写真:松本和也