— — — 藤谷さんの現在の活動は?

 

まちアーキ不動産株式会社を、2022年出身地の岐阜に設立しました。「不動産コンサルティングでまちづくりに挑戦する」という理念を掲げ、まちづくりと不動産業を営んでいます。

 

— — — 簡単な経歴を教えてください

 

岐阜出身なんですが、学生時代は東京都立大学(当時、首都大学東京)で、まちづくりの饗庭伸先生の元で大学院まで学びました。その後、比較的大規模な集合住宅を設計する会社に就職し、その後、創造系不動産の門をたたきました。

 

— — — 創造系不動産での活動は?

 

「不動産仲介業務」と「不動産コンサルティング業務」の両方を、他のメンバーと比べてもバランス良く行っていたのではないかと思います。仲介では土地やマンションを探し、コンサルティングは店舗や商店街のビルの建て替え、珈琲工場のコンサルティングを行っていました。

不動産コンサルティングがどんな仕事かというと、クライアントの不動産部隊になるようなものです。大企業であれば不動産部隊が社内にいることもありますが、中小企業の社長や地主は、新しく建物を建てるとき、自らが先頭に立って動くことがあります。ただ不動産の内容を熟知している訳ではないので、その時に参謀役の専門家として入っていくことになります。

 

— — — 不動産コンサルティング業務の魅力とは?

 

工場を新設することや店舗を建て替えることは、中小企業の経営にとって大きなチャレンジです。その時、経営者のそばにいれるということは、そのチャレンジのワクワク感を共有体験できます。不動産業を超えた、企業プロジェクト伴走業として面白いです。

 

— — — 建築家との関わり方は?

 

一般的な工務店やハウスメーカーではそこまで突っ込めないのですが、建築家はデザイナーなので、店舗がより魅力的になるデザイン方法を提示して、来店客にどのように映るか、といった事業戦略に繋がるデザインができます。こうしたデザインの力は、私たち不動産コンサルタントと相性がよく、相互の関わり合いが無くてはならないと感じています。

 

— — — 建築と不動産のあいだの問題とは?

 

もともと建築設計業界にいた人間からすると、不動産は正直、何をやっているかわからない存在でした。創造系不動産に転職するまでは、不動産屋は土地を転がしているだけでお金をもらっていそう、と漠然とした悪いイメージがありました。建築側から見ると、不動産という仕事には、何かしらのギャップがあると思います。一方で不動産側から見ると、お金やその前段の企画や銀行融資に、建築家はあまり携われなかったり、手が回らないという状況なので、お互いに弱いところを補完し合うような関係です。

そうした関係が理想なのですが、実際には、それぞれが単独で動いてしまい、プロジェクトが上手くいかないというシーンを良く見て来ました。

 

— — — 創造系不動産で働くメリットとは?

 

僕は出身の岐阜に帰りたいと最初に宣言して、創造系不動産に転職しました。地方では、建築設計だけで生計を立てていくのは難しいと当時は思っていました。自ら企画し仕事を創っていきたい、それには不動産だろうと、飛び込みました。

前職で勤めていた設計事務所が60人くらいの組織で、大企業という訳ではなかったのですが、企業経営の会計やファイナンスに触れる機会は皆無でした。創造系不動産は規模が小さく、リーダー制から成る小規模チーム制になっているので、小さい単位で経営の勉強ができます。これから独立したいや小さな組織で自分を生かしたいという人には、合っている会社だと思います。

前職の設計事務所に2年間しか在籍していなかったということもあり、下っ端で作業する働き方でした。

創造系不動産では比較的若い年次の頃から、営業や仲介を完全に任せてもらったり、コンサルティングを行えるので、経験するスピードがとても速かったです。創造系不動産では、努力すればお客さんに貢献できますし、また建築家からも喜んでもらえていると、直接お褒めの言葉を頂きました。

結果を肌で実感することができたので、働く喜びに繋がると思います。