今回たどり着いたのは、三鷹市内の旗竿地でした。旗竿地とは、道路から細い路地状部分を通った先に、まとまった敷地が広がる形状の土地を指します。周囲を建物に囲まれやすく、日照や通風の確保が難しいと見なされることや、路地部分の幅員によっては工事車両の進入計画に配慮が必要となることから、一般的には敬遠されがちな土地です。
しかし一方で、同じエリア・同規模の整形地と比較すると価格が抑えられる傾向があり、コスト面でのメリットがあります。この“評価の低さ”をどう設計で転換できるかが、今回の土地選びの大きなテーマでした。

現地では、敷地単体ではなく周辺環境まで含めて丁寧に読み込みました。通路部分の幅、隣地建物の高さや配置、抜けの方向、時間帯ごとの光の入り方、視線の抜けと遮られ方。こうした周辺状況を前提条件として整理し、建築のボリューム配置や開口計画を構想することで、敷地のポテンシャルがみえてきました。

変形敷地はしばしば「建てづらい土地」として扱われますが、設計の視点から再解釈することで、「条件が明確な土地」へと読み替えることができます。制約があるからこそ、設計の輪郭がはっきりし、住まいの在り方に必然性が生まれます。結果として、コストと空間的な豊かさを両立できる選択肢となり得ます。

建築家との土地探しは、単に立地や面積、価格だけで判断するのではなく、その土地にどのような建築が成立し得るのかという視点をあらかじめ織り込むプロセスです。周囲の状況を十分に吟味し、設計の可能性を見据えたうえで意思決定を行うことができる点は、建て主にとって大きな価値となります。
青木宣典さん設計による、建て主の新しい三鷹の住まいづくりが始まっています。

  • 住所:東京都三鷹市
  • 敷地面積:123.70㎡
  • 延床面積:未定
  • 構造規模:未定
  • 設計・監理:青木 律典 | 株式会社デザインライフ設計室
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 川原聡史