川崎市の戸建住宅の新築プロジェクトです。

不動産用語で「敷地延長」、建築用語で「旗竿地」と呼ばれる敷地はよく耳にすることがあると思います。どちらも同じ敷地を指すのですが、旗竿地は通路又は車路部分が前面道路に延長されているまさに旗の形をした敷地です。

旗竿地は購入価格を抑えられるというメリットを持ちますが、敷地が建物に囲まれた鬱蒼とした雰囲気をイメージされるかもしれません。

このプロジェクトの敷地も旗竿地の形状をしています。
ただ、大きく違う点が、旗棒部分の通路北側が幅員4mの民有通路であることでした。
民有通路があることで、隣地建物との離隔が保て、光の取り入れ方に幅をもたせることができ、圧迫感を解消できると建築家と創造系不動産は判断し、クライアントに提案を行いました。

建築家はさらに敷地境界に目隠し塀を立てて、プライバシーを確保できる隙間を建物の四周に創り、建物内部と一体になった庭を生み出しました。

2022年8月、この土地に誕生した住宅には、明るく心地よい空間が広がっていました。

以下、建築家のテキストです。

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敷地は、いわゆる旗竿地。しかも壁面後退1mという規制があり、建坪12坪しか確保できません。周囲は住宅に囲われ、開放的に窓を開けても、、、そこで提案したのが、隣地境界に目隠し塀を立て、建物との間にできる1m幅のスペースを露地やデッキテラスとった中間領域とすること。少しでも空間が広く感じられるよう、そこに向かって大きな掃き出し窓を設けました。隣家との隙間を、この敷地特有の景色として仕立てることが本住宅のテーマ。内部は吹抜を設けた立体的な構成。可能な限りの空間的な広がりを感じるとともに、趣向を凝らした可愛らしい住まいが完成しました。

 

  • 住所:神奈川県川崎市高津区
  • 構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
  • 設計・監理:築紡 根來宏典
  • 写真:上田宏
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 川原聡史