これは、京生湯葉で「食べる楽しみ」と「栄養」をぐるっと巻いた、高タンパクなヘルシーファストフードブランド「yuppa」のプロジェクトです。
ブランドの立ち上げは渡邊尋思さん、
店舗設計は建築家の湯川晃平さんと渡部剛士さんが担当し、
創造系不動産は、出店に向けた物件探しから参画しました。
都内のさまざまなテナントを見て回る中で、最終的に辿り着いたのは、青山通りに面した一棟のテナントビルです。
今回の店舗は、yuppaにとって初めての実店舗です。
つまり、店舗設計の基準そのものがまだ存在していない状態からのスタートでした。
厨房機器はどの程度必要なのか。
キッチンの広さはどれくらいが適切なのか。
どのくらいの客席を設け、どのような体験を提供するのか。
通常の店舗設計であれば既に決まっているはずの前提を、
このプロジェクトでは一つひとつ定義しながら進めていく必要がありました。
事業立ち上げの準備、出店戦略、ブランディング。
それらを同時に考えながら、その思考を空間へとフィードバックしていく。
いわば、ブランド・事業・空間の三層を同時に設計するプロセスでした。
特に、不動産の領域では見えない条件が数多く存在します。
原状回復の範囲はどこまでなのか。
貸主と借主の工事負担の境界はどこにあるのか。
厨房機器に必要なガスや電気、水道の容量は足りているのか。
排水経路はどこに通せるのか。
そのためには床高をどこまで上げる必要があるのか。
こうした条件は、図面上には現れないことも多く、
建築の知識と不動産の条件を往復しながら、一つずつ解きほぐしていく作業が欠かせません。
このプロジェクトで最初に行ったのは、
物件が持っている『「見えない制約」を可視化すること』でした。
契約前の段階から建築家や厨房機器業者に現地を確認してもらい、
時にはオーナーやインフラ事業者にも立ち会ってもらいながら、
現場での丁寧な調査と検討を重ねていきました。
そうして少しずつ条件が整理されていく中で、
席数や動線、客席の距離感といった建築計画的な要素も統合されていきます。
最終的に生まれたのは、
「湯葉」から着想を得た、流線型の有機的な垂れ壁とカウンターを中心とした空間でした。
厨房と客席、料理と体験、
ブランドと空間をゆるやかにつなぐこのカウンターは、
yuppaというブランドの思想そのものを象徴する存在になりました。
こうして、青山通りに面した一つのテナントは、
唯一無二の空間へと生まれ変わったのです。
おかげさまでオープン以来、
テレビや新聞など多くのメディアでも取り上げていただく機会が増えました。
今、ここ表参道という場所で、
yuppaが提案する「京生湯葉が日常的に食べられる新しい風景」が
少しずつ形になりはじめています。
- 住所:東京都港区青山5丁目
- 設計・監理:ユカワデザインラボ / 湯川晃平 渡部剛士建築設計事務所 / 渡部剛士
- 不動産コンサルティング:創造系不動産 / 中川陸・井上遼介