建築家夫婦 S+R architectsによる自邸で、東京都世田谷区三宿エリアのマンションのリノベーションプロジェクトです。

元々賃貸に住んでいたお二人は、コロナ禍での在宅勤務を機に、将来の家族構成や暮らしの変化を見据え、再販可能性も重視した持ち家への住み替えを決意しました。

物件探しでは、賃貸・売却の優位性を考慮し、立地や広さ、管理状況、築年数といった要素で候補を絞りました。

特に、契約前に建築家である彼らが自ら竣工図を確認したことで、リノベーションを通した新しい住まい方の可能性と、再販可能性を両立できる物件を見つけ出すことができました。

お二人が選ばれたのは壁式構造のマンションでした。壁式構造では、壁で建物の構造を支えるため撤去可能な壁に制限がありますが、そこに建築家がポテンシャルを見出しました。

既存の個室区画に沿った配置となっていた構造壁が、体に馴染んだ部屋のスケール感を残し、それらを全てつなげた回遊性のある空間に、点在する居心地のよい場所を形成しています。

また、最上階は日差しを遮るものがなく、部屋の気温が上がりやすいという難点があります。そのため、天井懐を設けて、そこに断熱材を入れて熱を遮る工夫をすることも多くあります。しかし、今回は購入前の竣工図確認から屋上防水の外断熱が確認できたため、最上階にも関わらず天井現しとすることができました。

床もコンクリートであることから、一部は既存の浮き床を撤去しコンクリート表しとしました。高い天井の下のワンルーム空間の中に、構造壁や床の段差が様々の場所を生み、季節や時間、アクティビティに応じた住まい方を受容します。

このように、物件探しの段階から建築家が竣工図を読み解いたことで、多様な住まい方、現在から将来の暮らし方の変化にも柔軟に対応できる住まいとなりました。

  • 住所:東京都世田谷区
  • 構造規模:鉄筋コンクリート造4階建ての最上階
  • 設計・監理:S + R  a r c i t e c t s/髙橋里美、髙橋遼
  • 施工: nobu.tect/佐藤伸彦
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産/山岸亮太
  • 記事編集:創造系不動産/飯山理帆