名作住宅、その先へ。
studio9Xによる宮脇檀住宅の改修


建築家・宮脇檀が全体計画から関わった「高幡鹿島台ガーデン」にある同氏設計の住宅を、建築設計事務所studio9Xが改修しました。
お施主さんのご厚意により、建築関係者や報道関係者を対象とした内覧会が開催されました。3日間にわたる会は、大盛況のうちに終わりました。
開催日:2026年7月25日・28日・29日
会場:東京都日野市

今回の改修のなかで最も目を惹くのは、階段室・廊下の天窓部分です。
この天窓は、もともと洋室のロフト上に設けられていた窓だそう。階段上の天井を取り去ると、階段室・廊下に光が落ちることで、家全体が明るい印象になっています。


水回りは、既存の意匠を活かしながら、現代の生活に合わせて更新されています。
一方で浴室は既存の板張りを活かしていたり、キッチンは天板や造作台を残しながら、設備の入れ替えを行なっています。
既存を残しながらの施工は、新築よりもかえって繊細な配慮が必要な場面があります。設計者と施工者が協力して、慎重に検討を重ねていくのは、改修ならではの難しさだと感じました。

この物件は、不同沈下して傾いていることが購入前に分かっていました。そのため、建物をジャッキアップして傾きを解消しました。その際に壁に生じたひび割れを、既存との差異がないよう色を選んで補修したり、歪んでしまった窓を交換したそうです。
こうした、表に表れにくい細部にまでも配慮が行き届いた丁寧な設計から、既存の建築に対する敬意を感じます。
元がいかに優れた建築であっても、それを受け継いで住み続けることは決して容易ではありません。 施主・設計者・施工者の三者が建築を尊重し、同じ方向を向いて取り組んだからこそ成し得たことなのだと感じました。
文:創造系不動産 大島菜々子