増田信吾+大坪克亘建築設計事務所の設計による、住宅プロジェクトです。
荒々しい斜面が残る敷地に可能性を見出し、25個の窓が建物と土地を結び、家族とチャボが共に暮らす環境が生まれました。
建て主夫婦は二人とも空間デザインに携わる仕事をしており、建物のデザインだけでなく暮らし方から提案することを求め、建築家へ自邸の設計を依頼しました。
これまでの生活に固執せず、建築のために生き方を変えるくらいの気持ちを持っていたそうです。
また、鳥好きの二人は新居でチャボを飼うことを希望していました。
そんな中、建築家が可能性を見出したのが、緩やかな斜面の中腹にある土地でした。
元々一つだった敷地を三つに分筆したうちの一画で、前面道路と敷地の奥では約3mの高低差が存在します。
また、敷地内には分譲の際につくられた二つの既存擁壁があり、北側には造成されていない荒々しい斜面が残っていました。
さらに、一部が計画道路にかかっており、その部分には堅固なRC造が建てられないという条件もあり、緩やかな斜面にある街の皺寄せを引き受けているような土地でした。
通常は建物を建てにくいと判断されがちな土地ですが、建築家と建て主は市街地に現れるこのダイナミックな地形に、暮らしの可能性を見出したのです。
特殊な条件を持つ土地のため、創造系不動産は契約前に詳細な情報収集と現地調査を実施。建築家はその情報を元に、どんな建築が可能かを検討しました。そして、建て主はその検討資料を確認し、建築プランをイメージした上で契約に臨みました。
建築家と不動産コンサルタントがタッグを組み、特殊な土地の詳細な情報を契約前に共有したことで、プランを実現できないと後から判明するリスクを軽減し、建て主のスムーズな意思決定につなげることができました。
建築家は、敷地の高低差と北側の斜面を生かし、建物のフットプリントを南側に寄せ、その上部に木造の建物が段々上に張り出す構成を提案。
そして、建物の北側の斜面に張り出す部分は、ベッドスペースやデスク、階段、床、壁、チャボ小屋を躯体と同時に立ち上げ、25個の窓を設けました。窓の外側に設置された照明は斜面を照らし、室内の主な光源になっています。
斜面と窓の関係性により建物と土地がしっかりと結ばれ、斜面はチャボが砂浴びをしたり、雑草を食べたりする居場所にもなっています。
特殊な敷地条件を建築家の視点と発想で活かした、地形と建物が関係し合う家族の生活の場が生まれました。
- 住所:千葉県市川市
- 主要用途:専用住宅
- 敷地面積:101.67 ㎡
- 建築面積:39.42㎡
- 延床面積:61.78㎡
- 構造規模:木造 2階建て
- 設計・監理:増田信吾+大坪克亘建築設計事務所 増田信吾 大坪克亘 湯原彰一
- 不動産コンサルティング:創造系不動産 本山哲也(元メンバー) 山岸亮太
- 竣工年月:2023年3月
- 掲載:住宅特集 2023年4月号
- 記事編集協力/玉木裕希