つくば市の市街化調整区域に建つ新築の住宅です。建築家と施主と一緒に、想定されるライフスタイルから土地の条件を都度見直しながらリサーチ&現地確認を繰り返しました。最初は埼玉県の市街地エリアから土地探しの旅を始め、ちょうど半年ほど経った頃ついに、つくばのこの土地に辿り着きました。土地の絶対的な広さ、近隣建物との適切な距離感の確保、市街地と一定距離を保って落ち着いた住環境が得られること等、施主要望の全てにピッタリと合致しました。完成した住宅は、「都市で働き郊外で暮らす」という施主のライフスタイルに応える、新たな郊外型住居のプロトタイプを示しています。

以下、建築家のテキストです。————————————————————-

「ななめ」を張る

茨城県つくば市、市街化調整区域に建つ新築住宅。地目山林の変形敷地には北側に下る崖があり、
土地全体を覆い隠す雑木が生い茂っていた。

飼い慣らされていない草木の力強さに溢れた地面のポテンシャルを享受するため、安全性を担保した上で建築全体を崖面に可能な限り近付けることを決めた。地表から比較的浅いレベルに安定した地山が存在したため、L型擁壁の天端にコンクリートスラブが載ったような形状の高基礎を崖に沿って配し、生活の起点となる水平な人工地盤を浮かべた。その上に2間×8間の木造2階建の細長いボリュームを載せているが、このとき南側1間には明確な「機能」をもつ諸室をゾーニングし、北側1間には「その他」にあたるスペースをまとめた。

木造軸組には、北側の崖と雑木に最前線で対峙する大きな平板「ななめ」が取り付く。「ななめ」は建物北面の全面ガラスの大開口を外部側から覆うことで、2階南面のハイサイド開口からスノコ床を通って崖下方向へと続く鉛直方向の「抜け」を内包しながら住まいのプライバシーを確保する。また穿たれた4箇所の孔が、南方向からの日差しを受けた色鮮やかな北面の木々とその隙間越しに見える様々をフィルタリングして切り取る。

「ななめ」が張るひとつながりの空間は、住まいにおける「機能」の外側にある「その他」すべてを包含する広がりである。住人は「ななめ」を介して周辺環境と出会い直し、そして乗りこなしてゆくだろう。

  • 住所: 茨城県つくば市
  • 主要用途: 住宅
  • 構造規模: 木造(一部鉄骨補強)地上2階
  • 敷地面積 234.3 ㎡
  • 建築面積 61.73 ㎡
  • 延床面積 99.29 ㎡
  • 設計・監理: 池原靖史建築設計事務所 池原靖史、トミ設計室 冨山正幸
  • 不動産コンサルティング: 創造系不動産 藤谷幹
  • 記事編集: 創造系不動産 倉本琢
  • 写真: 関拓弥