CASE STUDY54水戸の精米所転用

茨城県水戸にあるかつて精米所として使われていた建物の活用の計画です。
建築家北澤伸浩さん設計により既存建物のリノベーションと新築店舗部分の建築が行われる予定です。

「地方に住む両親が所有している不動産を活用したい。」こういった要望を頂く事が非常に増えてきています。地方の不動産は使い手が少ないため、既に余っていることも多く、詳細な計画をしていかないと上手く活用することは難しいのが現状です。

このプロジェクトでも、茨城県の水戸に祖父が使っていた古い精米所の建物があり、今使用していないその建物を活用できないかという所からスタートしました。
また、オーナーさんは東京で建築家設計の住宅に住んでおり、建築家設計の建物のすばらしさをより多くの人に広めたいという想いも持っていました。

歴史的な建造物というわけでもなく、建築としてとても魅力的とも言い難い建物でしたが、こういったものだからこそ、どのように活かしていけるのかということが、今回のプロジェクトに限らず、都市部以外でのエリアにおいて建築を考えていく上で重要になります。

私たちは、まず建築家の北澤さんと一緒にこの物件の活用に向けて調査を始めました。
そうすると、すぐにこの建物があるエリアが「市街化調整区域」であり、当初思い浮かんでいた、賃貸住宅への転用という方向性が難しい事が分かりました。

そこで、次のアイデアとして既存の精米所部分を活かしつつ、横に新築の小規模な店舗を建設するという案が浮かびました。
これを、決断をする上で重要なファクターとなったのは下記の2つです。
・新築部分とリノベ部分を明確に分ける事で、事業ローンの借入期間を伸ばす事が出来ること。
・既存精米所部分と新築部分を関係させ一体的な使われ方を想定することで、新築だけでは出来ない、この土地ならではの付加価値が出せること。

これらから、投資に対してのより大きな範囲で影響を出せること、つまり影響範囲のレバレッジが効くことが分かりました。地方ではこの事はとても重要です。

都市部においては、空間の面積や容積が、単純に価値に変換されるのに対し、地方ではそれらがなんの価値も持っていない、もしくは負の価値として認識されてしまいます。そのままでは活かされていない空間のよこに、新しいほんの小さな要素を足してあげることで、既存部分も、新築部分も、活き活きとしたものになることを目指しています。
既存部分については、ほとんど手を加えず、もともとの構成を活かしながら、中央部分にトップライトを作ります。これによって、暗い室内空間に表情がうまれ、天井高の違いや、新築部分との距離感によって空間に性格が生まれます。
新築部分は、建物の機能となる部分です。空間については既存部分に頼りながら、建物としての性格を決めるようなものとし、新築・既存部分のそれぞれが独立しては成立できず、お互いが補完し合うことで、一体として新しい建築になるように考えました。

ただもう1点、大きな心配があります。
それは、ここを借りるテナントが見つかるかどうかです。
水戸駅から車で20分ほどかかり、県庁と医療センターに挟まれたエリアの本地は、住宅地として人は近隣地域に比べ多いものの、商業的なエリアではありません。

そのため、このプロジェクトでは、まずこの物件のアイデアに共感してくれるテナントを探す事から始めることにしました。そして、空間の価値に共感し、是非借りたいというパートナーを見つけ、初期段階からこのプロジェクトに巻き込み、一緒に進めていくような形を考えています。

このプロジェクトは、別の角度から見ると、新築とリノベーションといういつの間にか明確に分かれてきたこの二つを、制度やファイナンス、空間的に緩やかに混ぜ合わせるような手法のケーススタディであるとも言えるかもしれません。

是非、この記事を読んで気になったらお気軽にご連絡ください。
詳しい情報など含めお伝えいたします。

住所:茨城県水戸市平須町
構造規模:既存・鉄骨造平屋建て(一部木造)
新築・構造未定
設計:北澤伸浩建築設計事務所
写真:北澤伸浩建築設計事務所
不動産コンサルタント:創造系不動産 佐竹雄太

CASE STUDY 55OREC green lab 弘前  CASE STUDY 53品川の家

CASE STUDY