CASE STUDY19コエドビール新工場

川越を拠点とするビールブランド「コエドビール」は、厳選された素材と製法による、日本を代表するクラフトビールメーカーです。ファンの世界的な増加に伴い、より理想的な醸造環境を求めて計画された埼玉県東松山市の新工場は、何と築38年、1万㎡を超える企業研修施設のリノベーションプロジェクトとなりました。社会環境の変化により役割を終えた研修施設が、大きな多数のビールタンクに埋め尽くされるビール工場に変貌を遂げる、壮大なプロジェクトです。

コエドビールは、「Beer Beautiful」をブランドコンセプトに掲げ、職人たちによるこだわりの製法を確立し、国内外から高い評価を得ているクラフトビールです。2006年当時、エイトブランディングデザインがブランディングを担当しました。

既存建物の改修と敷地内空き地への新築の両面で検討が行われました。コストやコエドビールのブランドコンセプトにあっているか、また周辺環境への影響を考慮した結果、リノベーションという選択肢がある。しかし大きなビールタンクを納めて行くには床や壁をどんどん取り除いて行く、それが物理的にも構造的にも、可能なのか。また現代的な生産性を得るためには新築の方が検討しやすいのでは。建築計画は、建築再構企画の佐久間悠さんが中心になって、検討が始まります。

私たちはこのプロジェクトの「チーム編成」を担当しました。チームはBeer Beautiful Brewery(BBB)チームと名付けられました。まずプロジェクトの解き方を解かなければならなりません。旧耐震基準の施設のため構造的な検討を要し、最初に構造設計者を現地にお呼びしました。また欧米のように古い建物をどんどん再生して行くためには建築法規マネジメントの専門家も必須です。

BBBチームの業務の進め方には、コンペやプロポーザル方式ではなく、既存工場、構造、法規、設備、経営、施工監理の専門家が同時並行で課題に当たり、結果を全員に共有しながら全体の方向性を変えていく「同時並行設計」と呼ぶ設計フローを採用しました。このプロセスで得た知見は、その後の私達の考え方を大きく変えました。

写真は、外壁を解体し大きな開口部を設け、新しい大型タンクを搬入しているシーンです。ここに至るまでに実に悪戦苦闘の2年以上の月日を要し、チーム全員が歓喜の声を上げました。結果的には、ほとんどの既存建物を利用することが、構造的にも法規的にも可能と評価され、それを実現しました。現在工場は完成し、新しい生産体制に入っています。

デザインチーム
コエドブルワリー 朝霧重治
建築再構企画 佐久間悠 栄彩葉
大賀建築構造設計事務所 大賀成典
リコークリエイティブサービス 田崎正男
長沼アーキテクツ 長沼幸充
創造系不動産 高橋寿太郎 近藤以久恵

エイトブランディングデザイン 西澤明洋 加藤七実 北原圭祐

所在地 :埼玉県東松山市
用途  :ビール工場
構造  :鉄筋コンクリート造

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