建築家・三浦尚人さんによる新築住宅です。

都内でも緑があり、落ち着いた周辺環境の中、広さを感じられる住宅、というのがクライアントの要望でした。
建築家の三浦さんと、クライアントと一緒に、練馬区内の土地を何件か廻りました。

そんな中、出会った土地は、南東角地の敷地面積77㎡、第一種低層住居専用地域、建ぺい率50%、容積率100%で、落ち着いた住宅街の中に位置するコンパクトな敷地でした。

契約前に、既存住宅の内見をさせていただき、風の抜け、光の入り方、眺望や周囲との距離感など、三浦さんと丁寧に見ていきました。

クライアントは車を持たなかったため、建ぺい率の角地緩和10%を利用し、コンパクトな敷地の中で建物の大きさを最大限確保するとともに、樹木を植えるため外構に余白を残す計画となりました。

以下、建築家のテキストです。

閑静な住宅地に建つ、若いご夫婦のためのコンパクトな都市型住宅です。

施主は、自家用車を所有しておらず駐車スペースが必要なかったため、思いのほか土地探しに時間を要せず予算内に収まる希望する土地(23.56坪)が見つかりました。

土地は東南角地と条件は良かったのですが、二つの道路からの視線や採光・通風と周辺環境を考慮して2階にパブリックスペース(LDK)を、1階に寝室、洗面室、浴室といったプライベートスペースを配したプランにし、施主から小屋裏収納(ロフト)も欲しいとのご要望があったため、2階LDKの上部にロフトと吹き抜けを設けました。

その結果、外壁色を変えた大小異なるキューブを積み重ねてずらした外観になっています。

ちなみに住宅のタイトルにある77という数字は、建築基準法上の床面積が77.10㎡というように「77」という縁起の良い数字が並んだことにより付けました。

さらにコロナ禍が長引くなか、自宅で仕事を行うテレワークが多くなってきている状況もあり、2帖ほどのワークスペースを設けました。このワークスペースは洗濯機とSKがあるユーティリティに隣接しているので、洗濯物を畳んだりアイロン掛けなど家事スペースとしても使える便利なスペースとなっています。

また、2階リビング・ダイニングではご夫婦共通の趣味である映画や音楽をダイナミックに鑑賞出来るよう壁面には防音シートを貼り、床、壁、天井にはスピーカーとプロジェクターが設置され、電動式大型スクリーンも設置されています。

一方、リビング・ダイニングの壁面に設置されている収納ボックスと棚板は、近いうち飼う予定のネコ用のキャットウォークになっています。

ロフトへは設置した収納ハシゴにより昇降し、リビング上部吹き抜けと4枚引戸で仕切られています。

クライアントが初期段階で探していた土地の面積は、一回り大きい土地でしたが、建築家のデザインによる敷地の有効活用、資金計画的なバランス、周辺環境を踏まえた立地条件など鑑み、最終的な敷地の決定に至りました。
資金計画の段階からクライアントと建築家、不動産屋の三者でプロジェクトを進められたことで、実現したプロジェクトです。
今後、クライアントご夫婦が選定された樹木が敷地の余剰を潤い、樹木の成長とともに住まいのかたちがどのように変化していくのか楽しみです。

  • 住所:東京都練馬区
  • 構造規模:木造軸組工法 地上2階建て
  • 設計・監理:三浦尚人建築設計工房
  • 不動産コンサルティング:創造系不動産 本山哲也、山中敦之