CASE STUDY29三ノ輪の家

ike atelier/池田直哉さん設計による古い木造家屋のリノベーションです。場所は東京、荒川区の木造家屋が密集したエリア。
築年数の古い住宅を購入するには、様々な可能性を検討しなくてはなりません。どんな住空間になるかだけではなく、コストのかかる箇所を想定すること、将来的なリスク等を調べ、可能な限り明確にすることが大切です。
今回の中古住宅探しは、リノベーションの必要な箇所とコストの関係を、何度も繰り返し検証しながら進めました。

クライアントと物件探しを始めると、ほとんどの古い木造家屋で雨漏りや腐食、躯体の劣化が見られ、修繕にコストが掛かり過ぎることが予想される物件ばかりでした。同時にRC造のマンションも視野に入れ、比較検討しましたが、当初想定していた資金計画通りに進められそうにありません。
その中で見つけた、築70年以上は経過しているであろう築年数不明の木造家屋。屋根裏や床下、配管の経路など建物の状態を可能な限り調べ、権利関係は法務局で何十年も遡りました。調査の結果、築年数に対して建物自体の状態も良く、リスクが少ないことがわかりました。

時間の経過とともに失われた住居としての機能が再生され、快適な住まいへと生まれ変わりました。

ike atelier/池田 直哉さんのテキストです。
「密集した住宅地にある長屋を分割したような細長い空間の2階建ての古民家。
極力構造には手を加えず、水回りなどの必要な機能を追加し、細長い空間が明るく開放感を得られるように心がけた。
1階は洗面、風呂、トイレをコンパクトにまとめ、キッチンはカウンターテーブルにも使えるように一部をアイランド型とし、階段を桁階段に変更し2階からの光を取り込めるようにすることで、ダイニングの薄暗さや圧迫感を与えないようにした。
2階は天井を取り払い丸太架構や屋根の野路板を現し仕上げとし、寝室とリビングはベンチになる小上がりを設け間仕切らずに領域を分け、収納の扉には既存の型ガラス入り木製建具を転用するなど、古民家ならではの荒々しさを残しながら、開放感を得られるようにした。」

不動産情報では、しばしば、定量的な「時間」が建物の状態の指標として見られますが、やはりそれらはあいまいで信頼性に欠けるため、建築的な現場を観察する視点が有効だと思います。

住所:東京都荒川区
延床面積:44.42㎡
構造規模:木造地上2階建
設計:ike atelier/池田 直哉
施工:東協建築
撮影:篠澤建築写真事務所
不動産コンサルティング:創造系不動産 須永則明

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